『はぐらかし京伝』について
『コミック乱』2006年四月号掲載。読んでくださいね、と。
以下、ネタバレ有り自作言及です。今回、小ネタはほとんど無いです。いいわけ中心。
手鎖
(C)みなもと太郎 『風雲児たち ワイド版10巻』より。
えっ?手鎖ってこーゆー風にハメるもんなんですかっ!?がちょーん。 普通に現代の手錠と同じように描いてしまった。
人間一生胸算用
善玉・悪玉の語源となった善魂・悪魂の登場する作品は 『心学早染草』。 『人間一生胸算用』は心学シリーズの2作目。 『人間一生胸算用』には冒頭の口上で善魂が登場するだけで、 内容には善魂も悪魂も登場しないんですが、 同じ心学シリーズであり、寛永三年の筆禍の直前に出た作、ということで『人間一生胸算用』を採用してみました。
噴飯幾多
1ページ・6コマ目。 〝噴飯幾多〟は造語。こんな四字熟語は辞書に無いです。 造語を使うのは創作においては悪い手法です。 すなわち私は悪であり、闇漫画界の裏マンガ家なのです。
「おかしくもあり おかしくもなし」
5ページ5コマ目。
「それにつけても金の欲しさよ」
と、どっちにするか10秒ほど悩んだ。
蜀山人
6ページ2コマ目。
「この大田が…蜀山人が」
蜀山人を名乗ったのはもっと後になってからだったんですね。
原稿を納品したあと、もらったワイド版風雲児たちを読んで知りました。
将来、機会があれば直します。四方赤良や寝惚先生に直して注釈を入れて作品のリズムを崩すのもためらわれたので、そのままにしました。
卵焼き
卵焼き‥‥というか、ダシ巻き卵のつもりなんですが‥‥ 手前の一切れと奥の一切れの長さが全然違うのってどうよ? ちゃんと下描きして描けよ>自分、と。
まぁ、黙ってればまず気付かれないんでしょうが。
悪人
特に元ネタは無くて、悪人の記号として〝顔を隠した殺人鬼〟を使っただけ。 それでも強いて元ネタを上げるとすればジェイソンってことになるんでしょう。
ゴニンシュー
ゴレンジャーのパロディ。困ったのがロゴの扱い。 ゴレンジャーのロゴって、見上げパース付きロゴじゃないんですね。
ゴレンジャーのパロディであることを重視するか、 スーパー戦隊のパロディであることを重視するか。
結局、ゴレンジャーのロゴフォントを見上げパース付きにするという折衷案にしました。
読本作家のおめーにゃ
10ページ2コマ目。この時点(寛永三年)での馬琴は、 まだ読本は手がけてないんですね。 最近、馬琴について調べて知りました。 まだ駆け出し戯作者として、ようやく自分の名前で本を出してもらえ始めた頃。 ここも機会があれば直したい‥‥けど、直せるかなぁ?コレ。 (直せませんでした)
12~13ページ
説教臭くなっちゃった。
正直言うと、10~11の馬琴の罵倒や14~15の京伝の独り言は、論理として成立してない。 なんとなく雰囲気で押し切ったけど。酔っ払い論法ということで許して下さいませ。
書かねーヤツ
いや、人にはそれぞれ事情というものがあるからさぁ‥‥
っていうか、こんなの描いたら後々、自分が困るに決まってるのに! 吐いた唾を飲むハメになりそうな予感。
落首
だから私は字が下手なんだってばっ!
書の入門書を見ながら10枚ほど書いて、マシなのを選んだ。それでもアレ。
はらがへりま大こん
17ページ6コマ目。このギャグは原典の『桃太郎発端説話』に出てくるギャグなので、 たとえ滑っていてもそれは私のせいではなく京伝が悪いということでひとつ。
(「なにか くわせて だまらせよう」「ええ」の追加は桝田道也の手による)
これから考えんだよっ
これから考えんだよっ = ページが足りないんだよっ
言及おわり
こんなところですか。
↓試し読みあります
>はぐらかし京伝 | ブログ桝席
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